2014年3月22日土曜日

クリミア自治共和国

クリミア自治共和国でロシアへの編入の賛否を問う住民投票が行われた。その結果は、投票率は83.1%、ロシアへの編入賛成が96.77%に達した。96.77%が賛成したということ自体が変。58.5%がロシア系住民、24.4%がウクライナ人、12.1%がクリミア・タタール人。

ウクライナ南部のクリミア自治共和国でロシアへの編入の賛否を問う住民投票が行われた。その結果は、ロシアへの編入賛成が96.77%。フセイン大統領時代のイラクで国民投票が行われ、フセイン大統領への支持が99.96%だったと発表されたのに似てないか。

ウクライナの名が世界に知られたのは、1986年のチェルノブイリ原発事故。当時、日本では、「ソ連のチェルノブイリ」と呼んだ。まだソ連の構成国の一つだったためで、ウクライナが独立したのはソ連が崩壊した1991年。頻繁に問題が起きて、住民が可哀相。

米国とEUは、ロシアが軍事力によってクリミアを制圧し、無効な住民投票でロシア編入を決めるのはけしからんと主張する。しかしそ、03年にイラク戦争を仕掛けたのは米国だ。大量破壊兵器を保有しているという嫌疑をかけ、強大な軍事力でフセイン政権を倒した。

ロシアを批判するEUの怒りは米国ほど激しくない。なぜなら、EUとロシアの経済は深く結びついている。EUにとってロシアは3番目の貿易国で、ロシアとってEUは最大の貿易相手。液化天然ガスには、EU3分の1をロシアから買っている。

メルケル首相は幼い頃から東ドイツで育ち、ロシア語も話せる。プーチン大統領は80年代後半、KGB時代に東ドイツのドレスデンで諜報活動に従事した経験があり、ドイツ語が話せる。二人は話し合いができる。今回のクリミアを解決する鍵は、メルケル首相かもしれない。


ロシアと米国・EUが対立するなか、中国の思惑はどうか。国連安全保障理事会でクリミアの住民投票を「無効」とする決議案が採択されたが、ロシアの拒否権行使により否決された。このとき中国は棄権している。微妙な立場だ。