2013年5月2日木曜日

Assistant Language Teacher=外国語指導助手で、日本の英語教育は発展しない


英語教育について、自民党の日本経済再生本部がまとめる中間提言の素案によれば、グローバル人材養成のため、英語を母国語とする外国人教師を今後3年以内に現在の2倍に増やし、10年以内にすべての小中高に派遣するよう提案。

これでは、英語を母国語とする教師は集まらない。

以前、イギリス人教師1500人を日本に招いたことがある。その資格は、ALT(Assistant Language Teacher=外国語指導助手)で、日本人英語教師の助手と言う位置づけだった。

当時日本人英語教師がALTに対して高圧的な態度をとる、自分が英語をできないことがバレないように、生徒のいる前で、日本人英語教師がALTと一緒に教えない等の隠れた問題があった。

結局、イギリス人教師は1年半ほどで、「あまりにも馬鹿にしている」と怒って帰ってしまった。

英語教師を集めたいのなら、母国語が英語の国で「国語教師」の免許を持っている人は自動的に日本で正規の英語教師として教えられるようにしないと、良い教師が定着しない。母国で一生懸命勉強して、教員資格を取っても、日本ではアシスタントにしかなれないのでは、良い人材が集まる訳がない。

環太平洋経済連携協定(TPP)で課題となっている国家資格の相互認証。欧州連合(EU)ではすでに国を越えて職業免許が有効になっている。英語はもともと外国語なのだから、免許を持っているネイティブから習う方が、無資格のALTから習うより、質が向上するのは明らか。

ところが、日本教職員組合(日教組)が許さない。日教組としては、中高で6万人いる英語教師の雇用を最優先にしたい。だから、あくまでも外国人教師をALT(助手)としてしか認めない。

今回の提言では、母国で国語教師の免許がなくとも、母国語が英語であれば誰でもALTになれるとしている。しかし、外国語学校を長年経営している経験から、只英語が話せるだけでは、効果的な授業は行えない。ALTに応募するネイティブに、英検1級の単語問題を出題すると、問題数の半分以上が不正解と言うのは珍しくない。

教職員組合がどうしても抵抗するというのなら、文法と読解、和文英訳、英文和訳は、日本人英語教師が教える。Aural Communicationは、母国で国語教師の免許を取得している外国人教師が正規の教師として教えると言う事もできるだろう。

かつては日本の給料が安く、外国から教師を招聘するにはコストがかかったが、いまでは日本人の教師を雇う金額で来てくれるネイティブが大勢いる。

今回の提言は生徒の方を向いたものではなく、日教組や教職員の方を向いたもの。自分たちが教えてきた日本人の英語力が世界で最低レベルだという反省が全くない事が問題。

外国人教師を正規の英語教師として受け入れて、日本の国家的リスクとなっているコミュニケーション能力の不足を是正する。グローバル人材の育成に不可欠な政策ではないだろうか。

子供たちの英語力を鍛えるには、優秀な外国人教師を教室に迎えることが不可欠。そうすれば、TOEFLを大学入試の前提としても、然程高いハードルにはならない。

勿論、教員採用の際は、教員資格だけではなく、人格を考慮し、日本文化に興味を示してくれる人を優先したい。